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少年登場! 「ホタルイカを目指せ」の巻
新たにBBWebスタッフとなったカワマタだが、実はまだBBが月刊雑誌だったころに誌面に登場していた。そこで彼の紹介の意味を込めて当時の誌面を再現しよう。時は2001年の4月だから今からちょうど4年前。一人の少年が興味本位で編集部に顔を出したのが運のツキだった。 (一部原稿を改訂しました)    
読者の少年イキナリ勧誘される

3年ほど前から編集長Oは、ある行為に憧れを抱いていた。 ホタルイカを食べたい。それもピチピチの獲れたてを「うひひひ、じゅる」なんていいながら手込めに…じゃなくって、存分に味わいたいと思っていたのだ。 ホタルイカってのは体長が8センチほどの小さなイカで、ホタルのように発光するのでそう呼ばれている。しかし獲れるのは富山湾を中心とした限られた海域だけ。しかも沿岸で獲れるのは4月の半ばから5月の上旬まで。自分で獲るとなるとかなりピンポイントな攻撃が必要となる。 「でもなあ、ホタルイカは食べたいけど色々準備はメンドーだな」なんて考えていた。歳をとるとワガママになるのである。 担当の編集Sも「なんでも言う事を聞く召し使いがいればなあ…」などと妄想を抱いていた。  

オッサン二人がそんなしょうもないことを話していた時である。編集部のドアを叩く弱々しい音がした。 「あのう、読者なんですけど、見学させていただいてもいいですか…」  現れたのは体が小さくヒョロっこい少年だった。  OとSは顔を見合わせた。「神様ありがとう!」 その少年の名は川又ワタル18歳(現22歳)。音楽大学に入学したばかりのまさに少年だった。  編集長は見学に来ただけの少年にイキナリ言った。 「キミ、オレ達とツーリングに行かない?」 「え! あの、僕は見学しにきただけなんですけど…」 「分かってるって。ガス代もメシ代も出してやるぞ」 「え、本当ですか? あ、でも僕はバイクに乗るのヘタだし、ツーリングも行ったこと無いし…」 「いいよ、いいよ。そのかわり俺たちの言うことをきいてテキパキ働くんだぞ」  あたふたする少年だったが、老獪なオッサン達には抗えなかった。  編集部のドアを開けたことで、少年にとって人生の一大イベントが始まることになるのであった。
少年が初めてのツーリングに 

少年を強引にツーリングに誘ってから、3日後の朝9時。関越自動車道の練馬インター近くに集合した。  結局メンバーは編集長Oと編集Sと少年ワタル。そしてホタルイカに誘われたスタイリストのクボ君の4人となった。クボ君はドラッグレースのライダーなので、基本的に曲がったことが無く、1回の走行距離は400メートルという極端なバイクライフを送っているやつだ。 集合時間には少年だけがすこし遅れてやってきた。
「あの、すみません。夜中に友達から電話で…、相談に乗ってて…、あんまし寝てなくて…」
「ごちゃごちゃ言うな。行くぞ!」
「は、はい〜」

当時の少年の愛車、SR400。現在はどんな人生(?)を送っているのだろうか。
少年の身長は160センチで体重は50kgもないだろう。質量も体積もウチのハルコの半分くらいだろう。かなり受身な性格らしいが、悲壮感が無いので、編集長はつい迫力を出してしまうらしい。
 4人が揃ったところで早速日本海に向けてスタートした。関越を1時間ばかり北上し、藤岡ジャンクションから上信越自動車道に乗り換え、長野県側から新潟県の糸魚川方面に向かうことにした。片道約350kmという道のりは、ツーリング初体験の少年にとってはかなりハードだろう。


少年が編集長をアオッた!?

途中の話はハショリます。なにしろひたすらに高速道路を走るだけですから。高速では先頭を編集Sが走り、2番目が少年、その次が編集長で最後がクボ君だった。しかし高速道路は景色の変化が少ないので、10分も走っていると飽きてします。変化が出てきたのは上信越道に入り軽井沢が近くなった辺りからだった。 少年の走りがヘンなのである。少しずつ蛇行し始めたのだ。編集長はムッとした。 [小僧の分際で免許歴25年のオレ様アオッてんのかぁ、こらぁ]と内心で思ったらしい。 しかし少年は蛇行運転を止めるどころか、益々チョーシづいている。しまいには路側帯にハミ出る勢いとなった。「やべー、コイツ居眠りだ!」慌てた編集長はホーンを鳴らしながら少年に向かって全力で怒鳴った。
「コラー! 目を覚ませ少年!」

少年は我に帰って慌てて車線に戻った。自分でもかなり驚いたのだろう、目ン玉を見開いている。 先頭を走っていたSも状況を察したらしく、休憩しようと合図してきた。間もなく東部湯の丸サービスエリアに入った。この辺りまで来るともう4月だというのにあちこちに雪が残っていた。寒いはずだ。

「おい少年、アブネーじゃねえか」
「あ、すみません。寒いのをガマンしていたらそのうち眠くなってきちゃって…。歌ってみたり一人クイズしてみたりしたんすけど…」
「どうしてもシンドくなったら我慢しないで合図しろって言っといたろが」
「あハイ、でも気がついたら居眠りしてたっていうか、気づかないうちに眠ってたというか…」
「まあ確かに居眠りってのはそんなもんだけど、マジでやばいぞ」

まだ目的地までは200キロ近くもあるのに前途多難だ。
これではホタルイカどころではないかもしれない。 【次回に続く】



今回のツーリングのおおざっぱな道程。
初めてのツーリングにしてはホント、キツかったっすよ!
                              
イラスト:中村 登
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