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第四話:知床へ!
阿寒湖の朝も、相変わらずどんよりとした曇りでした。林の中のキャンプ場にテントを張ったので、夜露のせいでしょうか、テントの中まで草や木の匂いで満たされていています。すがすがしい空気の中トイレに行き、もう一回テントに入って二度寝しました。キャンプツーリング中に二度寝するって話もなかなか聞きませんが、正直雨ばっかりで今日も天気悪そうなのでやる気が失くなっちゃったんですよね。
起きると、Nがなにやら作っていました。テントのジッパーを開くと、もう何度も嗅いだあの匂いです。さすがに気持ち悪くなってきました。
「なー、またチキンラーメン使ってるんだろ。やめようぜマジで」
朝食として食べるのは2回目なのですが、それ以外にもツマミとかオヤツとしてそのままボリボリと絶えず食べていたので、僕らはかなりのチキンラーメン漬けだったのです。
N「おまえが出発前に『非常食』とかいって無意味に買い込んだのがいけねーんだろーが。それにさ、昨日キツネに朝メシ持って行かれたじゃん。だから、今あるものだけを使って創作料理やってんだ。これ、なんだと思う?」
W「…そばめし」
N「そう!よくわかったなあ。…これそばめしっていうのかな、まあいいや。チキンラーメンとご飯にタマネギ入れて炒めたんだ。匂いで判断するなよ、味がしみてて意外とウマいから」
僕は、謎の「そばめし」にコンビーフが添えられた野戦食のようなそれを、恐る恐る口の中に突っ込みました。すると、アレ?意外にもけっこうおいしい。タマネギのおかげで「クチャクチャ」もしくは「ボリボリ」しか無かった食感に「シャキシャキ」が加わってだいぶマトモな食べ物になりました。そして問題のチキンラーメン味はご飯に染み込んでだいぶ薄くなっており、その絶妙な風味がまた、けっこうイケるのです!…といっても、わざわざ試す価値は無いと思いますのでご注意ください。あくまでこの状況下で食えたってだけの話です。

テントを畳んで出発です。今日は摩周から美幌峠を超えて知床を目指します。241号を東に向かって進んでいきました。天気は変わらず、今にも降りそうな曇り。
W「摩周湖は…どうするかねえ」
N「ぶっちゃけ見る気ないっしょ?おれもこの天気じゃ何もする気になれないし。先に行こうぜ」
で、ひたすら走っていきました。しかし、美幌峠に差しかかったあたりから、みるみる空が明るくなってきたのです。そしてとうとう、晴れ間がのぞきました!やっと、やっと、北海道で青空を見ることができました!!


そこから先はもう、今までとはうってかわって気分はハイテンションです。気持ちよい風を切って、右へ左へとカーブをクリアしていきます。峠を登り切ると、はるか下方には屈斜路湖、そして稜線の緑が風で揺れていました。広い駐車場には車がキラキラと太陽の光を反射して輝いていて、真ん中にはお土産屋があって、食堂があって、家族連れの笑顔があって…ああ、これこそ「正しいツーリング」だあ…!
昼食はここで豚丼を食べ、デザートに買った「笹アイスクリーム」を食べながら付近を散策しました。そこで気付いたのですが、この一帯に生えている草、実はほとんど笹でした。だから笹アイスなのかあ。味は、抹茶アイスを爽やかにしたような感じです。
さて、峠を下ってからは国道334号線を東にむかって一直線!空はみるみる晴れて青くなっていき、左側には木々の間からオホーツク海が見えてきました。
さらに走り続けます。少し日が傾いてきました。開放感いっぱいな海沿いの道を進んでいると、滝が見えました。で、デカい!!あわててバイクを停めて、近くまで見に行ってみることにしました。
「オシンコシンの滝」というらしいです。…なんだか文字の並びが妙に気になります。なぜ気になるのか、原因を探ってみました。試しに一部を伏せ字にしてみます。「オ○ンコ○ン」「○○ンコ○ン」「○○ンコ○○」…もう中学生じゃないので、このへんでやめときましょうか。海のそばでいきなりこんな大きな滝を見られるとは、北海道は不思議がいっぱいですね!
さて、今日は夜釣りをしたいのでぼちぼち泊まるところを決めることにしました。雲一つ無い空は、きれいな夕焼けです。地図を見て悩んだ結果、ここから少し先にある宇登呂(ウトロ)という港町にあるキャンプ場に決めました。
ほどなく到着、すぐに荷物を降ろしてテントの中に放り込み、釣り道具をバイクに積んで港へ向かいました。宇登呂は不思議な雰囲気を持った町で、言葉にするなら「最果て」の寂しさと暖かさがあるような感じでした。町全体はこぢんまりとしていて、港の近くにはとても大きな岩がそびえ立っています。人が優しくて、海がきれいで、旅人がたくさんいます。港のすぐ近くには洒落たオープンテラスのカフェが併設された釣具屋があって、旅人らしき欧米系の外人が、パソコンに向かって何か入力しています。僕たちは店員さんに相談しながら、エサと仕掛けを揃えました。カレイが釣れるらしいです。あと、エサ無しでも「入れ食い」の魚がいるとか…。さあ、準備OK。今日の夕飯はカレイを食べるつもりでがんばります!!

<続く>


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