| 編集ワタルの北海道ツーリングレポート |
| 第三話:阿寒湖 |
 |
|
|
|
夕方の阿寒湖はお盆なのに少し肌寒いくらいで、空はどんよりと曇っていました。近くのセイコーマート(北海道でメジャーなコンビニ)で夕食に食べるカレーの材料を買いそろえてテントに放り込んだ後、阿寒湖の温泉街にあるらしいアイヌコタン(アイヌ民族の集落)を見に行きました。
|
|
|
|
そこはキャンプ場からすぐ近くの温泉街の一角にあるのですが、一目ですぐにわかりました。土産物屋さんが並んでいるのですが、その一角だけなんというか、独特の雰囲気なのです。木彫りのお土産や、口に当てて音を出す面白い楽器、そして民族衣装なんかが並んでいます。辺りはだんだんと暗くなって、土産物屋さんの白熱灯が暖かく光って見えてきます。とても綺麗です。なんともいえない孤独感と幸福感に浸っていると、Nがとんでもない一言を発しました。
「こういうキレイな所ってさあ、彼女と来るべきだよね。なんか切ねえなあ…」
まさにその時、同じこと考えてました。僕は口に出さなかったのに…
途端に落ち込んできました。しかし「この寂しさもまた、旅の醍醐味なのだ」と結論付け、アイヌコタンを一旦出て温泉街に降りて行き「まりも湯」という名の温泉へと向かいました。 |
|

 |
|
|
|
…ええと、この名前がどうもひっかかります。「まりも湯」ですよ。またどうせNも同じことを考えているのでしょう。「これが名前だけでなく実際に浴槽にまりもが入っていたりしたらどうしよう」と。でもNは口に出しません。この緊迫感を崩さないようにしているのでしょう、たぶん。
|
恐る恐る料金を支払って浴場の扉を開けると、な、なんと浴場の床一面に煮くずれしたまりもがびっしりと敷き詰められているではありませんか。しかも浴室全体はなんとも言えない青臭さが満ちていて……なわきゃありません。普通の浴場でした、あーよかった。お湯は熱めでしたが水で少しうめて入るとちょうど良く、とても気持ち良かったです。まりもじゃなくて丸く削った木のボールが浴槽の中に浮いていました。
|
|

懐かしい雰囲気の体重計がありました
|
風呂から上がると、街はすっかり夜になっていました。お土産物屋さんからは明るい光がこぼれています。今日はどこかのホテルに泊まるのでしょうか、浴衣姿の人達が歩いてゆきます。僕たちもすっきりした気持ちでキャンプ場へと戻りました。
|
|

温泉街で発見した「マリモ・どっと・こむ」。マリモグッズが所狭しと並んでいた。定番の「まりもっこり」もありました。
|
| さて、カレー作りです。しかし、すでにビールを開けてしまっているので。これから真面目にカレーを作っていくのは面倒くさいというのが正直な気持ちでした。話し合った結果「男同士のキャンプなんだから細かいことにこだわることはなかろう」ということで具を刻んで入れた鍋に水を張り、いきなり火にかけました。そして待っているあいだに炙ったスパム(知ってる?ソーセージみたいなハムみたいな、しょっぱいやつです)を肴にしてビールを飲んでいると、何者かの視線を感じました。見ると、木々の間で動物の目が光っている…なんとキツネです!! |
|

キツネ登場!
|
W「…呼んでみよう。おどかすなよ。…るーるるる…」
N「おう、蛍、おれにもやらせろ…って、ばか、そんなんじゃ来ねえよ…カメラ用意しろ。そうっとな」
こちらのこそこそ話にビビる様子もなく、近づいてきます。
N「おっ寄ってきた。かわいいやつじゃん」
W「写真撮るよ。動かないで」
|
その時です。近づいてきたキツネは急に機敏な動きをしてビニール袋の中に頭を突っ込み、朝食用に買った食パンを袋ごと奪って逃走しました。
W「あぁ!ちっくしょう!」
N「てめえ、こんにゃろ!かわいい顔しやがって!!取り返してくるわ!」
しばらくするとNが肩で息をしながら帰ってきました。
N「はあはあ…キツネ…ってさ、ゲホッ、意外と逃げ足速いのな」
朝食のパンが無くなったので、コンビーフがまるまる1缶とマヨネーズが余りました。僕たちは出来上がったカレーを食べて(これが意外と美味しかった)眠りにつきました。
寂しい夜は更けていきます。
<続く> |
|

かわいい顔で近づいてくるキツネ
 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|