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YAMAHA YZF-R1('07)
2007年欧州向けニューモデル「YZF-R1」をカタールで試乗
 その意外なインプレッションとは
98年のデビュー以来高い評価を得てきたR1が、そのキャラクターを大きく変えた。これまでスーパースポーツが求めてきた基準を、ある種「方向修正」するものと言えるかもしれない。それはファンライディングを見つめなおした結果なのかもしれない。ライダーは月刊『オートバイ』誌でお馴染みの宮崎敬一郎氏だ。
このR1もついに第5世代となった。今年はフルモデルチェンジのサイクルにあたっていたが、05年モデルをベースとして、オーリンズの足回りなどを組み込んだSP仕様を登場させた。その分じっくりと造り込んでいたのがこの07モデルだが、そのコンセプトからするとこれまでのフルモデルチェンジとは違った意義がありそうだ。
 その改革されたR1は、エンジンは欧州の排ガス規制クリアのために均等燃焼に有利な4バルブにされているが、そこに注目するのは正しくない。フライバイワイヤのFI制御(YCC-T)に可変ファンネル長制御(YCC-I)の装備などもしているが、何よりもフレームも完全に新設計とし、ヘッドパイプ周辺やリヤアームピボット周辺を強くしながら剛性バランスを変更したことがポイントと言えるだろう。
 わかりやすく数値で表すと、縦・横・ネジレの剛性でそれぞれ-50%・-24%・-25%も落としている。「弱くなった…スポーツポテンシャルを落としたんだ…」と大騒ぎするのはかなり軽率だろう。
 R1がとった剛性バランスの改良は、どんな操作に対してどんな応答性にすべきかという車体設計の根本概念を大きく変えたものだったのだ。設計上の数値の高い低いではなく、実際に走っている操作感の中で決定されたシャシーバランスだと思えばいい。

YCC-I、YCC-Tユニット

 試乗したのがカタール(サウジアラビアの隣国)のロサイルサーキットだったが、ここは超高速コースなので車体の柔軟さなどは強調して感じられる。
 だからだろうか、明らかにしっとりとしなやかな応答をするハンドリング。高速域での身のこなしが…いや身のこなしだけでなく操舵感までが軽い。柔軟な車体などと表現すると「クニャ」とか「フニャ」とした感触を想像するかもしれないが、もちろんそうではない。カドのある堅さがなく、しなやかに素早く応えてくれるハンドリングなのだ。そしてへばり付く。
 もちろんパワーは180馬力だ。フルバンクで無茶な開け方をすればリアタイヤは悲鳴を上げてすぐに滑り出す。でも前モデルと比べると明らかに滑りにくくなっているのだ。有り余るパワーをダイレクトに路面に伝えるのではなく、やはりしなやかさを加えた感じ。タイヤ性能の違いを考慮に入れても他メーカーのライバル車たちよりずいぶんイイ。これはこのR1の強力な魅力となるだろう。
 YCC−Tによるパワーのスムーズな発生能力も利いているだろうし、機械としてのシャシーバランスの良さも利いている。とにかく優しくしっとりと、確実に駆動力を路面に伝え、かつ路面にへばり付くシャシーとエンジンである。手応えばかりで、なにかのハズミで、ある一線を超えると簡単にスライドを誘発するようなタイプではない。安心してグイグイ開けられるのだ。
 現在このクラスのSSたちのパワーはほぼ横並びで全車、過剰で強烈だ。ストリートでまともにそのパワーを受け止められるタイヤもないから、足回りやシャシーで、そのパワーをいかに使えるものにするかで各社が悩んでいる。そんな中、このR1のとった味つけは、徹底的に優しい応答・反応で身のこなしとパワー制御をコントロールしやすくすることに徹したわけだ。その威力はたぶん、どんな場所でも圧倒的な扱いやすさを生み、強烈なパワーを扱うリスクを下げるだろう。
ただし「多分」と書いたのは、今回は尋常でない高速サーキットでのみの試乗だったからである。ストリートでの評価は次の機会になる。

●フロントブレーキ
キャリパーはラジアルマウントの6ポットだがパッドは先頭が1ピストン、後ろが4ピストンの対向パートに分かれている。初期制動の立ち上がりは優しく、握り込んでいくと力強くなって、制御感もダイレクトになっていくというもの。やはり扱いやすさ狙いのキャリパーだ。

●リアブレーキ

●リヤショック上
高速と低速でそれぞれ圧側の減衰力を調整できる。

●リヤショック下
伸び減衰調整はこの間隙からドライバーを差し込んでおこなう。リヤショックリンクはリンク比を変更。可変率を高めて、これまでのR1より入り込んだときに強い反力を生む。
<ヤマハ YZF-R1 主要諸元>
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ4気筒
総排気量: 998cc
圧縮比:12.7
最大出力: 180ps/12500rpm
最大トルク: 112.7Nm/10000rpm
全長×全幅×全高: 2,060×720×1,110mm
シート高: 835mm
乾燥重量: 177kg
始動方式: セル
タイヤサイズ: F:120/70ZR17M/C、R:190/50ZR17M/C
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